外国語へ分け入る

外国語にいくらか触れるなか、一つの言語という山に分け入っていくにあたって一定の流れみたいなものが曖昧にだが形成されてきている気がするので、ここで一つ書き落としておく。

0. 興味が沸き起こる

ウェブ上でも本でもなんでもいい、読み物(≠学習教材)を読んだりして、その言語に関わる漠然としたイメージがあったり面白い話を知っていたりする。白水社のしくみシリーズ、Wikipediaの記事、言語学者や翻訳者によるエッセイ本やブログ・SNSの記事とか。

それで、使いこなせると便利そうだなとか、なんだか見たことない面白そうな仕組みがあるらしいなとか、非実在のキャラクターが書いたり喋ったりしているところを想像すると妙に興奮するとか、何らかの興味が沸いてくる。

これは言語を学ぶフェーズのうちには含まなくて、それ以前に自然にやっているやつ。より詳しく知りたくなると次のフェーズ 1. に入る感じ。

1. 仕組みや感覚を大まかに知る

適当な教科書を適当に一つ購入し、適当に書きまねたり喋りまねたりしながら最初から最後までざっくり読む。

このフェーズでは終始ゆっくりみっちりやってはいけないことに注意を配っている。完璧にしようとするとしんどくなって嫌な気分でやめてしまう。読後にその言語の基本的なしくみが一つ一つざっくり頭に残り、それぞれの詳細で具体的なことはあとで教科書をすぐ参照できればいい。人によるかもしれないけど、ここの調整がわりと難しくてついみっちりやってしまいやがて嫌になってしまいがち。嫌な気持ちになるよりかはすっぱり放り投げる方が全然いいと思うので、1日坊主も全然オッケー!くらいの気持ちで行きたい。教科書を捨てずに取っておいて3年後に再開したって何の問題もない。

教科書はだいたい前から後ろに向けてクリティカルさが薄れていくように書かれている気がするので、それに応じると読み進めるほど読み方が雑になっていくはずだし、それでいいと思っている。最初の文字と発音は80%くらいみっちり読んでいくけどページを進めるにつれてこのラインを下げていって最後の敬体とか接続法とかは10%くらいで流し読む、みたいな感じ。朝鮮語やアラビア語、あるいはロシア語のようにあまり馴染みのない文字を用いている言語なんかは、教科書の最初にある文字と発音をやるだけで、今までただの記号列でしかなかった文章から音が聞こえてくるようになるので、それだけでもうかなりの幸せを取得することができる。

教科書はメジャーな言語ほど選択肢がたくさんあってガチ度にけっこう幅があり、自分の直感でこれいい!ってやつを選ぶのがいいと思う。したがってデカい書店の語学棚に行き、いくつかの教科書をパラパラめくってお気に入りを適当に一つ買う。どうせガチ寄りなのを購入しても前述の通り自分の情報入力弁を調整することでいくらでも雑に読める。

ちなみに白水社の「語学の基本図書」というやつは講談社現代新書に似た面構えのシンプルさからしてもガチ度高めの印象がある。いずれ腰を据えてやるぜと決めてかかるのであればおすすめのシリーズ。

2. 頭の中にデータベースを構築して育てていく

例文を読みまくる/ラジオを聞きまくる。

ゲームでいうところのレベリング。ひたすら量と多様さを得ていく。終了条件が特に無いという絶望感はあるものの、じゃあ速度感を維持しないとデータベースが劣化するかというとそんなことも無いと思っているので、のんびりやっていけばいいと思う。

考えることがめんどくさくなって単語帳を買ってしまいがちだけれど単語帳は文脈が細切れになりがちで長期的に見て効率が悪いし何より「お話」が無いので極めて退屈でしんどくて、私はあんまり好きじゃない。はじめから辞書を右に、文法参考書を左に置いて文章に当たり、その中で単語なり文法なりを脳みそに繰り返し地道にちょっとずつじわじわと染み込ませていくのが結局のところ効率的かつ楽しいと思う。あるいは文脈に単語をぶら下げて覚える本を使う。

同時に同じ文章を書き写したり(写経)、同じ音声をシャドーイングする(読経)。物理的には出力だけれど、イメージから文章や音声を組み上げるという本質的な出力はしていないので、これは入力フェーズの作業の一部とみなす。

3. 考えること/感じることを書き出す

メモやブログ、SNSとかで使ってみるとか。

このへんはよくわからない、というか研究的なことがしたい人でもなければ言語は出力するところに主な楽しみがある気がするので、ここでは基本各々がその言語でやりたいことを好きにやればそれで十分なんじゃないか。

例文データベースのでかさと多様さに比例して出力は良くなると思われるけど別に例文データベースを使うぜ!という意識を持つ必要もないと思う。

所感

番号を振ってみたけど、別にこの順番で進めるべきということではないし、実際もしていない。前後したり並行したりというのは往々にしてある。あとで振り返ると実行順序に軽~い相関があるかなというくらいのことです。

あと「1. 仕組みや感覚を大まかに知る」というところで「このフェーズでは終始ゆっくりみっちりやってはいけない」と書いたけど、特にこのフェーズだけということではなくてずっとそのようである気がしてきた。「2. 頭の中にデータベースを構築して育てていく」でも書いたけど、永遠に終わらないし終わりがない以上相対的な進捗というのがわからなくてつらい、しかしその代わりに進んでも戻ることはないと信じているので、やはりのんびりやっていくというのがいいだろう。

語学関連の記事でよく取り上げられる継続するコツとして目標を立てるというのを割と見る気がするけど、これも場合によると思ってる。私の場合は必要に駆られてやっているわけではなく完全に趣味なので、そういう場合に目標を立てるのはかえってよくない気がして、したがって私は明確な目標を設定していない。ただ非実在のキャラクターが外国語を使っているところを見ると楽しいとか多様な仕組みを調べると楽しいとかみたいなゆるい動機があって、そういう燃料さえ常にちょろちょろと流れ出ていればそれが興味のトロ火を灯し続けると思うし、外国語に限らず継続のコツってわりとそういうところがあるんじゃないかな。

登れば上に行ける。